銅版画で綴る近代建築の魅力 その1

本学は世田谷区に位置します。
そこで区内の近代建築を趣味の銅版画(エッチング)で紹介しましょう。まずは「旧柳澤家住宅」。場所は大原1丁目。京王線の代田橋、井の頭線の新代田が最寄り駅です。

この住宅(平屋)は、伊東安兵衛(1908~72)の設計によって昭和26(1951)年に建てられました。伊東は民芸に共鳴し、銀座にある民芸品販売の老舗「たくみ」に勤めながら、数多くの住宅と店舗を設計しました。民芸とは民衆的工芸の略語で、大正末・昭和初期に、柳(やなぎ)宗悦(むねよし)、河井寛次郎、濱田庄司らによってはじめられ、日常の生活用品はもとより、家具、建具などに美的価値を認めようとする大きな運動となりました。

建築においては、伝統的な古民家をモデルにしながら、当初は和室に暖炉やソファを設けるという洋風化が図られました。柳澤家住宅は戦後の建築ですが、外観の大きな切妻(きりづま)造りの屋根、その破風(はふ)に見られる幾重にも組まれた貫(ぬき)と束(つか)の意匠に、他方、室内では、大谷(おおや)石(いし)を張った玄関土間、ハツリ痕を残す野太い梁の使用等に民芸の影響を見ることができます。また、ウィンザーチェア(イギリス製)、バタフライ型のテーブル(松本の民芸品)、照明具(鳥取の民芸品)など、創建当時に購入された民芸家具がそのまま残されているのも魅力です。To Be Continued…

(教授 堀内正昭)

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