地震に耐える「壁」の強度試験

私たちの生活を守る建築物は、しっかりとつくられていないと、日常の安心を脅かし、場合によっては倒壊し、人命の危機となる可能性もあります。
では、どの程度、「しっかり」つくらなければいけないか、ということを考えたことはあるでしょうか。ただ単に、建物が建つようにつくるだけではダメです。地震や風といった自然の力から建物の安全性を保障しなければ、建物をつくる許可はおりません。
そして、地震や風によって、建物には、主に横に揺さぶる力が作用します。このような力に建物が抵抗する重要な要素は、まさしく「壁」です。
この壁が、横から力をかけられたときに、どの程度強く、「しっかり」としているかを検証する耐力壁の強度試験の見学に行きました。

今回、関東学院大学の神戸研究室が実施する実験に、昭和女子大学と東京理科大学の学生が見学をさせてもらいました。場所は、越谷レイクタウンにあるポラス暮し科学研究所です。木造の大断面の集成材で構成された建築で、吹き抜けの気持ちいい玄関アトリウムに迎えられました。

今回、実験の対象となる試験体が下の写真です。

写真中央の木材で構成された軸組壁が試験体です。
これを壁と言われてもピンと来ないかもしれません。しかし、斜めに配置された「筋かい」により、横に揺れる力に抵抗するため、耐力壁と定義されます。柱と梁、土台、筋交で構成されています。
また、梁の端部に据え付けられた青色の油圧による加力試験機が見えます。この試験機の大きな力によって、押したり、引いたりすることで軸組壁を左右に揺らします。
少しずつ、少しずつ、ゆっくりと段々大きな力を加えていきます。
すると、どうでしょう。

上の写真は、 試験体を横から見た様子です。

45mm×90mm断面形状の筋交が大きくたわんでいる様子がわかると思います。
これだけの変形を生み出す力は、おおよそ500~600kgの力を試験機により生じさせていることになります。

日常で見ることができない状況を観察することが、実験の目的です。

森部先生が真剣に変形、破壊の様子を観察しています。

よく見ると、ひびが入っています。たわみにより生じる伸びが追従できずに、表面が割れてしまいました。こうなると構造部材としての役割を果たすことができません。
実験により得られる知見は、どの程度の力に耐えられるか、どんな壊れ方をするか等、様々な情報を収集して、設計に応用することで、皆さんの安全な生活を守ります。

この場を借りまして、見学させていただきました関東学院大学の神戸先生、神戸研の学生さんと、ポラス暮し科学研究所の方々に感謝申し上げます。

横須賀

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