2012海外デザイン演習(建築)その7

海外デザイン演習(建築)8日目:本日はベネチアよりバスでヴィチェンツァ、ヴェローナを経由して、宿泊地ミラノに向かいました。本日の主な視察先は、パラディオのヴィラ・ロトンダ、テアトロ・オリンピコ、パラッツォ・キューリカッティ、バシリカ、そしてカルロ・スカルパのカステルベッキオ美術館、ヴェローナ銀行です。しかし研修旅行も8日目、しかも昨日は終日ヴェネチアの街を歩き回ったせいでしょうか。私を含め学生にも疲労のピークが。その上徒歩での移動が多い本日の行程と、うだるような暑さの為、正直私自身もヴィラ・ロトンダと、カステルベッキオ美術館に集中する事で精一杯。何とももったいない一日でした。
パラディオは織田信長が生きた時代より少し前に活躍した建築家で、いわゆる建築家という生業を成立させた初めての人です。ル・コルビジェ等モダニズムの巨匠にも多大なる影響を与えたとされるその人の、代表作の一つがヴィラ・ロトンダです。小高い丘の上に立つその建築は、私の眼には古典そのもの。美しい神殿。というのが正直な感想です。ただ左右対称(シンメトリー)な空間構成において見られた壁面のアーチ、中央ホールを縁取る円の数々が幾重にも重なるその様は、どこか現代建築に通じるものがあるような気がしたのは、予備知識のせいでしょうか。

神殿の様な外観を持つヴィラ・ロトンダ。内観は残念ながら撮影不可でした。
既存建物を利用した屋内劇場テアトロ・オリンピコ。だまし絵的な超遠近法的舞台が広がります。
街の広場に面して建つバシリカ。パラーディはファサードの設計を担当。

カステルベッキオ美術館は古城をスカルパが改修し美術館とした建物です。既存の石造建物に周到に設けられたガラス開口や木製・鋼製建具。ディテールにより自立性を高めた異素材が、自立しつつも調和する、ピンと張りつめた緊張感がそこには確かに感じられました。単なるノスタルジーではない改修のあり方を、見事に遠く先の方に示したスカルパの素晴らしい美術館でした。

有名なアーチの連続により構成される美術館内部の様子。

 

既存の城壁に添えられた開口部。建具が絶妙なバランスで配置される意匠はもちろん、それらを構成する一つ一つの要素が実に丁寧に設計・製作されている事に感動!今の時代にこうした建具を作るとすれば一体いくらかかるのだろう・・・。

開口に合わせて建具枠を削る。構造の人間だからかもしれませんが、あまりこうした事例を最近の建物では見ない気がするのは気のせい?

(専任講師:森部康司)

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