2012海外デザイン演習(建築)その9

海外デザイン演習(建築)10日目:昨晩のnight spaに引き続き、早朝7時~入浴可能なテルメ(温泉)につかりスタートした本日。天候も時より太陽が射し、復調の様子。いい研修日和になりそうです。
さてテルメです。もはや詳細な説明は必要のないピーター・ズントー設計の本施設は、地元産の石を積んだ実に量塊的な空間です。私の様な構造屋が説明するならば、コア(固い箱)とコアに支持された片持ちスラブが規則性を持ちながらもランダムに配置され、互いのコアは付かず離れずの関係で自然光の射すスリットを形成しているというのが大雑把な説明となります。しかしもう少し感情的に説明するならば、風景を切り取る開口部、壁や屋根といった建築の構成要素を浮き出たせるスリット、ブルー?にライトアップされた水とその反射光の揺らぎ、といったこの建築を形づくる素材一つ一つの持つ可能性をクローズアップする、ただただ静寂の似合う神秘的な空間といったところでしょうか。

晴天のテルメ・ヴァルス。ガラスに反射した青空が建築の純度を高めているよう。

 

テルメの屋根越しに周辺の山並みを見る。屋根に設置されたガラス板(スリット)が、テルメ内部に光の移ろいをもたらす。

ホテル内にあるズントーデザインの客室。私達の宿泊した山小屋風の客室とは打って変わってモダンな空間となっています。

朝から温泉につかり、まったり気分の学生達。コルビジェチェアの座り心地はいかがでしょうか。

その後はこの名残惜しい建築を後にして、もう一つのズントーの代表作、聖ベネディクト教会を訪ねました。テルメ・ヴァルスより1時間少々の位置に建つこの小さな教会は、本当に愛おしい建築でした。うろこ状に重ねられた板張りの外壁は、日に焼け雨に打たれほど良い具合に風化し、風景と建築が一体化していました。正面から少し外れた位置にあるエントランスから厚い木製のドアを押して中に入れば、目の前には白木の家具と黒く塗られた板壁、その上にある開口部、そしておなじみの木の葉のような屋根架構が立ち現れます。ここでも素材はそれぞれが独立していて、互いの存在感を放ちつつも見事に調和しています。白木の家具にはテーパーや、部分的な面取りがなされ、視覚的にも触覚的にも優しく慎ましい空間となっています。柱に使われている集成材の方向が、力学的には逆であるような気もしましたが、視覚に触れる面積の広い方になるべくラミナが現れないように工夫しているのかななどと物思いにふけつつ、この建築を後にしました。

聖ベネディクト教会遠景。斜面に据え付けられた宝玉の教会建築です。

斜面下側より教会を望む。その特異な外観が小ぶりな建築をより愛おしいものへと変換する。

エントランス近景。板葺きの外壁が、日や雨により程良く風化している。

エントランス正面より教会を望む。

重厚なエントランスの木壁をあけると・・・

程良く遮蔽された小さな礼拝空間が、細心の注意のもとに設計された架構や家具とともに建ち現れる。

有名な屋根架構を見上げる。まるで木の葉のようなその架構は、礼拝空間にいる私達に快適な木陰を提供してくれる。

偶然通りかかったペーター?と牛たち。首につけた鈴の音が、ハイジ的世界を盛り上げてくれました。

(専任講師:森部康司)

 

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