2013年度国内研修旅行(建築)

今年の国内研修旅行(建築)は山陰山陽を巡る旅でした。年々苛酷さを増すこの企画、今年は両夜行かつ初日から砂丘巡り+登山と今まで以上にハードな旅となりました。主な視察先は三徳山投入堂、東光園、出雲大社、厳島神社、旧山邑邸、浄土寺浄土堂。建築を学ぶ学生なら、一度は見ておきたい建物を並べてみました。

<1日目>
夜通しバスを飛ばして早朝に到着したのは鳥取砂丘です。せっかく鳥取まで来るのですから、ここは見ておかないとということで足を延ばしてみました。早朝の人影まばらな砂丘に、40名ほどの女子大生が猛ダッシュで駆ける様は、周りの観光客の方の目にどのように映ったかはわかりませんが、ザ・鳥取という場所に来れたことは、学生にとって良い思い出となったのではないでしょうか。


早朝の鳥取砂丘

その後は平安時代後期建立の三徳山投入堂へ。この建物は急な崖に埋め込まれるように建つ御堂で、その建設方法を含め、今なお不明な点の多い建物です。御堂へ至る道程そのものが修行のひとつとして位置づけられており、鎖や岩、木の根につかまりながら斜面を登る学生たちからは常に悲鳴のような発声が続いておりました。


岩場を登る学生達。既に修行は始まっています


途中の御堂では最高の眺めが望めます


崖に埋め込まれるように建つ奥ノ院の眺め

夜行バスに揺られ早朝ダッシュ+登山とさすがに疲労の色が隠せない学生たちの今夜の宿は、日本のドコモモ150選にも選出されている、故菊竹清訓氏による皆生温泉 東光園。メタボリズムという新陳代謝する建築を見事な造形の中に表現したこの旅館は、築後50年を経てなお、私たち建築を学ぶものに何かを訴えかけてくる魅力を持っています。その何かとは、見る人や、経てきた経験によっても違うのですが、皆さんもぜひ一度訪れ、そのタイミングで感じる特別な何かを体験してみてください。


メタボリズムを体現した東光園全景


名作家具の並ぶロビー

<2日目>
東光園を後に向かった先は、今年60年ぶりの平成の大遷宮を終えたばかりの出雲大社。同じく今年式年遷宮を迎えた伊勢神宮とともに今年の大きな話題となった出雲大社に、まさにこのタイミングで訪れられたことは私たちにとって本当にラッキーでした。遷宮を終えたばかりの本殿は、神社としては非常に大きなものですが、古の人々により建てられた本殿は今とは比べ物にならないほどのスケールで建っていたとも言われ、信仰心という巨大なエネルギーの成せる業に、ただただ感嘆するばかりです。


出雲大社の象徴である巨大なしめ縄


遷宮を終えた御本殿を望む

その後はバスに乗り中国山脈を越え広島は安芸の宮島、厳島神社へとひとっ飛び。厳島神社は創建が聖徳太子が活躍した頃ともいわれるこれまた古い神社で、海に建つ大鳥居が有名な世界遺産にも登録されている神社です。私たちが訪れたその時は、満潮を過ぎ、既に干潮へと変わり幾らか過ぎたタイミングでした。そのため大鳥居付近まで歩いて渡ることができ、その巨大さを間近に見ることができました。日々潮の満ち引きに晒されるその巨大な主柱は、木という素材にとってはこれ以上ない過酷な環境を経てきており、歴戦の傷跡が度重なる根継ぎの跡と共に非常に印象的な造形となっていました。


潮の引いた厳島神社では…


大鳥居までも歩いて行けます


その場に生えているかのような主柱


人の手による修復の跡が生々しく残っています

<3日目(最終日?)>
実質的な最終日となるこの日は、朝広島を立った後は山陽自動車道をひた走り、兵庫県は芦屋市にあるヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)へ。フランク・ロイド・ライト+遠藤新設計によるこの迎賓館は、当初個人宅として設計され利用されてきましたが、現在は淀川製鋼所迎賓館として一般公開されています。緻密な細工と水平に伸びる内部空間の構成は、まさにライト建築そのもので、しばし時を忘れて建築散策を楽しみました。


車寄せよりエントランスを見る


応接室 暖炉を見る

その後は小野市にある浄土寺浄土堂へ。何年か前の国内研修旅行でも訪れた浄土寺浄土堂は、春分、秋分の日の夕方頃、堂内に差し込む光で真赤に染まる空間へと変貌し、極楽浄土をまさに体験することができる御堂として有名です。数年前に訪れた際はあいにくの雨模様でしたので、今年こそはと意気込んで乗り込みましたが、今度はちょっと到着が遅かったとか。残念ながら朱色の堂内を体験することはできませんでした。しかし大仏様といわれる建築様式で建てられた貴重な建築物を、引率の田村圭介先生にご説明いただき、学生たちはみな満足気?な様子でした。私はといえば3度目の来訪を心に決めて、この堂を後にしました。

田村先生による説明を聞く学生

生きた教材でもって建築を学ぶというこの企画、果たして今年の参加学生にはどのように映ったのでしょうか。今後の学生生活や、社会人として過ごす日々において、ほんの少しでも糧となることを期待して、今年の研修旅行レポートを終了したいと思います。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

専任講師:森部康司

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