2012海外デザイン演習(建築)その5

海外デザイン演習(建築)6日目:前日に引き続き、早朝移動。コペンハーゲンを後にして、空路イタリアはミラノにやってきました。本日の視察先はただ一つ。カルロ・スカルパによるブリオン・ヴェガ(墓地)です。この墓地はベネチアから1時間ほど離れた田舎町にあるため、本日は視察後そのままベネチアに向かい宿泊。翌日は終日水の都ヴェニスの自由散策となっています。ブリオン・ヴェガはその名の通りブリオン家の為の墓地なわけで、何をそんな一家族の為の墓地を見にわざわざそんな遠くにと思われるかもしれませんが、これがただの墓地ではないのです。スカルパの手にかかればただの墓地も神殿と化します。エントランスを入ったその瞬間から、その手のかけように鳥肌が立ちます。建築の設計というのは本当に手間がかかり、それは学生が取り組む課題に関しても同様です。他学科の学生が大学生活を謳歌している時も、徹夜して課題をこなす建築の学生は、いわゆる日本の大学生とは異なる一種異様な存在です。しかしそんな建築に関わるものからしても、このスカルパの手のかけようは尋常ではありません。例えば線と線を交差させるにも、単なる二直線の交差だけでは物足りず、屈折線の交差が多用されます。無限にある屈折点の中からどうやってその位置を決めたのか、私の様な凡人にはわかりませんが、しかしその空間を体験すれば、確かにその位置に屈折点がある事が腑に落ちます。一体どのようにしてそうした形体の試行錯誤を試みたのか、全くもって不思議で仕方がありません。「建築設計とは膨大な手間の集積である」そんな格言めいた言葉を再確認させられた建築でした。

いたるところに設けられた凹凸が織りなす光と影の協奏が、工芸品のような建築に生き生きとした表情を与えます。

コンクリートの持つ可塑性を最大限に生かした職人による膨大な手作業の痕跡は、内部空間のいたるところで発見できます。

日本建築の影響を多分に受けていたと言われるスカルパを垣間見れる?円形開口

隣接する共同墓地との間にあるアプローチ空間を抜けると・・・。

ブリオン家の墓地に寄り添うように据えられたスカルパ自身の墓碑があります。この建築がスカルパにとっていかに重要な作品であったか。遺作と共に眠る事を希望したというスカルパの逸話からも容易に想像する事ができます。

(専任講師:森部康司)

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