ファッションプランニング演習・課外授業レポート

2023,10.22 ファッション

ファッションプランニング演習は、ファッションに関係する製品やプロジェクト、サービスなどを企画する方法について体験的に学習する演習科目で、外部のクリエイターや企業と協業することで、より実践的な取り組みを行っています。2023年は繊維製品企画販売会社のブルーミング中西株式会社と協業し授業がスタート、10月17日(火)に履修するファッションマネジメントコースの3年生28名で日本橋人形町にあるブルーミング中西株式会社本社に訪れ、課外授業を実施しました。

ブルーミング中西株式会社は明治12年創業、144年の歴史ある老舗企業でハンカチーフ業界の最大手の一つであり、ハンカチーフの他にファッションアクセサリーやベッドリネンなどを商品展開をしています。当日はこの授業の外部講師としてご担当いただいているデザイナーの田宮氏、商品統括部企画室室長の定金氏、人事総務部の日比谷氏、マーチャンダイザーの赤星氏の4名にご参加いただきました。

定金室長より「企画とはそもそも何か?」というお話からレクチャーがスタートです。プランニング(企画)と演習名になっているこの言葉、実際にビジネスの現場では「企画という言葉はこのように捉える」という根本的なお話をしていただきました。

次にマーチャンダイザーの赤星氏より、同社におけるマーチャンダイジングの業務内容と最新シーズンの経営戦略についてお話をうかがいます。マーチャンダイザーは略して「MD」と呼ばれている職種で、アパレル企業における重要なポストの一つです。マーケティング、商品戦略プラン、生産から流通、消費者からのフィードバック調査など、綿密なリサーチと数字に基づき商品企画の具現化を専門としています。赤星氏のレクチャーでは、一般的なアパレル企業に共通するマーチャンダイザーの役割についてわかりやすく解説いただいたのちに、実際に赤星氏がどのようにリサーチを行い数字を導き企画を立ち上げるのかについて、お話をしていただきました。履修学生がファッションデザインを専攻していることを踏まえ、赤星氏は実例として2024S/Sに向けた社内営業部やライセンスブランドへの企画提案について、実際のプレゼンに使用した貴重な資料を用いて詳しく解説いただきました。

レクチャー終盤に学生より質疑を行いました。「ハンカチも服の商品企画と同じようにトレンド分析やリサーチを行っていると聞いて、両者が同じようなプロセスで商品化していくという共通点にびっくりした」という率直な感想から「昨年の販売実績などからSKU(最小の品目数)を割り出しデザインに落とし込んでいくというが、良いデザインが先にできたら逆の流れでも良いのではないか?」と意見が上がった際には「本来的にはデザインが出発点はとてもいいと思う。ブルーミング中西でも以前は逆の流れで行ったこともあるのでまたトライしてみたい」というご返答をいただいたりと、活発な意見交換になりました。

 

 

レクチャーの後、ブルーミング中西株式会社のオリジナルブランド「CLASSICS THE SMALL LUXURY」人形町店に移動し、実際の製品を手に取り解説いただきます。

以前店頭で販売を担当されていたこともあるという人事総務部の日比谷氏より、ブランド理念について丁寧にご説明いただきました。デザインとしてハンカチーフそれぞれに込められた想いはもちろんですが 「環境負荷をかけないものづくり」についてのお話が特に印象的でした。製造工程の中で水を大量に使わずに済む繊維を使用した「第3のハンカチーフ」と名付けられた製品や、廃棄されるハンカチーフを集め紙として再生し、その紙を用いてパッケージを作るなど、環境負荷をかけない姿勢を企業メッセージとして発信していることなどを知ることができました。

販売員さんより選んだハンカチーフに刺繍を入れるサービスについて説明をしていただいている様子。イニシャルで入れられるアルファベットは1文字あたり選べるフォントが何十通りもあるそう!

絵柄の刺繍もお店で入れられます。キノコの絵柄をチョイスしたギフトはハンカチーフから再生したグレーのパッケージに入れて。

デザイナーの田宮氏とブルーミング中西株式会社本社前にて。 履修学生は最終講評会にて田宮氏より出題された課題のプレゼンを行います。 良い提案ができるよう頑張ろう!

担当: ファッションデザインマネジメントコース 特命講師 國時 誠

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