2025,10.13 ファッション

先日、ファッションデザインマネジメントコースの「アパレル素材論」の授業で、山梨県産業技術センターの五十嵐哲也氏をお迎えして、富士吉田の織物産業の歴史と現状、そして、10/18,19日に開催されるハタオリマチフェスティバルのお話を伺いました。このフェスティバルは今年で10周年とのことです。

ハタオリマチフェスティバルの詳細はこちらをご覧ください。

 

ここからは、この授業の概要を、受講したエンドウヒナノさんのレポートを元に、紹介します。

五十嵐氏は、山梨県立技術センターでは前代未聞の、デザインナーを産地に招くバスツアー企画運営 、エキュート立川でファクトリーブランドを持ち寄った企画、 デジタルジャガード技術の開発、それらを生かしたデザイン開発などを行っておられます。

富士吉田界隈で発展してきた生地の特徴は、多品種の産地であること、小さい工場であること 、糸を染めてから織ること(先染)が挙げられます。 特に、富士山に近いため水が綺麗で、綺麗に染めることができるといいます。

産地では、かつて甲斐絹(山梨シルク)がとても有名で、これは表地としてではなく、裏地として用いられていたそうです。 これは、学生が厳しい校則から表地にアレンジを加えられなかったため、裏地でオシャレをして目立とうとしたためであるとのことです。

甲斐絹の特徴としては、
①軽くて薄くて丈夫
②たくさんの工夫、技術をインプットしている
③裏地だけどデザイン性が高い
というものがあります。

機織りという技術は時代と共に、名前が忘れられていき、誰が作ったのか、どのようなものなのかも人々の記憶の中で衰退して行った過去がありました。 その中で、五十嵐先生らは、様々な葛藤を経て、頼まれることをして喜ばれるものよりも「頼まれないことをして喜ばれる」ことが当時の山梨県産業技術センターに必要であると、考えを一転させたと伺いました。 そこから、エキュート立川での企画で、今まで技術センターの中で誰にも知られずこっそり やっていた仕事を、ショップを開くことで、自分の名前を刻み、お客さんに顔と顔を合わせて手渡しで商品を渡すことハタオリという技術の良さを伝えて行ったそうです。
また、ハタオリフェスティバルの開催をするなどして、忘れられていたハタオリが街のプライドになって行ったことを知りました。

「自発的で真剣な挑戦を楽しむ」ということを実践することで、結果的にハタオリという人々に忘れられていたものの名前を取り戻し、生産者の名前がわかり、手と手で繋がりあえる消費者との関係を築くことができたことを教えて下さいました。

私は今回の五十嵐先生からの講義で、ハタオリという伝統をどうにか人々の記憶に刻もうとする活動をうかがい、ハタオリに対する強い愛情と情熱が感じられて、私自身もとても刺激になりました。実際にハタオリフェスティバルに足を運んで見たいという気持ちが強まりました 。

今回の講義を通し、ハタオリという技術について深く学んだだけではなく、五十嵐先生のキャリアから、今後社会へ飛び立つ学生に勇気や希望を与えてくださいました。五十嵐先生、ありがとうございました!

以上

今週末開催される、ハタオリマチフェスティバルにぜひ、行ってみましょう!

(担当:ファッションデザインマネジメント教員 下村)

 

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