建築インテリアデザインコースの戸田穣です。
このたび2023年度日本建築学会賞著作賞を、共編著者の権藤智之先生(東京大学准教授)とともに編著『内田祥哉は語る』(鹿島出版会、2022)にて受賞しました。
本書は戦後、長く日本の建築界と歩みをともにしてこられた故内田祥哉先生(1925-2021)に、生い立ちから近年のお仕事、お考えまでを語り下ろしていただいたオーラルヒストリーです。その内容については編者それぞれの紹介がありますので、そちらをご覧いただければと思います。帯の背の言葉「建築のその他でありすべて」は本書の中からとった言葉ですが、内田先生の事績、建築観をよく表現する言葉ではないかと思います。
UTokyo Biblio Plaza 内田祥哉は語る(権藤智之筆)
学生の皆さんには「学会」というと縁遠い世界かと思われるかもしれません。論文や技術などの各賞は、たしかにそうかもしれませんが、日本建築学会賞(作品)および作品選奨は、日本国内で建てられた建物を顕彰する、もっとも権威ある賞とうけとめられています。先輩の作品や学生コンペの作品だけでなく、いまこの国でどのような建物が建てられ、どのような視点で評価されているのか、ぜひ知ってもらえればと思います。また、やはりそれとともに建築という知の結晶である作品だけでなく、建築の世界、その裾野の広大さ、奥行きにまで目を向けてもらえればと思います。ちなみに今年は俳優の鈴木京香さんが文化賞を受賞されたことでも話題になりました。
数年ぶりに対面で開かれた贈呈式では、各分野における選考過程と受賞者の業績が紹介され、建築学という学問の総合性、学際性をひしひしと感じました。わたくし自身は微力な研究者ではありますが、故内田祥哉先生の学恩を忘れず、その知にふれえたことを支えに、そこからえた学識を社会へと返すべく努めていきたいと思います。
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