2020,04.22 プロダクト
プロダクトコース 特命講師の三星です。
今回はいくつかの本を紹介します。
「レイアウト きほんの「き」」
佐藤直樹 著
佐藤さんは、アジールというデザイン事務所をされている方で、
僕らの世代にかなり大きな影響を与えたエディトリアルデザイナーです。
最近だと、「デザインのひきだし」という雑誌のレイアウトを2017年くらいまでされていました。
この本はその佐藤さんが「レイアウト」の基本について、かなり丁寧に、かつわかりやすく書いた本です。
レイアウトというと、グラフィックの一分野と感じるかもしれませんが、そうでもありません。
レイアウトには伝えるべき情報があり、
その情報をどのように整理し、また写真や図を使って補足し、
並べることで人がその情報を得やすくできるのか。
人が何かを受け取る(与える)時の作法のようなことが書かれています。
全体的にはハウツー本ではありますが、
かなり初心者向けに書かれているので、学生の皆さんにもとてもおすすめです。
「デザインの骨格」
山中俊治 著
山中さんは現代を代表するプロダクトデザイナーで、
代表作でいうとSuicaの改札機などが有名ですが、
それ以外にも腕時計や義足など多岐にわたる製品を作られています。
ただデザインされるもの素晴らしいですが、
僕は山中さんは言葉の人だと思っています。
ものすごくわかりやすく、そうでいて、
誰も言葉にできなかった想いをさっと掬い取れる、そういう類稀な才能の持ち主。
デザイナーにはいろいろな才能(技術)が必要ですが、
山中さんは工学、人間工学、自然学、
そういったいろいろな「知」を
「デザイン」という技術でまとめ上げ、
そしてそれを誰にでもわかる言葉で説明できる、そんな人です。
この本は、山中さんの昔のブログに掲載のいくつかの記事に肉付けをした内容ですが、
読んでいるうちに、なんだかわくわくしてきます。
デザインに携わるということが人類の役に立つ。
そんなことを感じさせてくれる本です。
(amazonでは欠品中のようです。。おすすめしておいてすいません)
「バッタを倒しにアフリカへ」
前野ウルド浩太郎 著
最後にこれはデザインとは直接関係ないかもしれませんが、
昨年読んで一番面白かった本なので紹介します。
みなさん、バッタに対してはどんなイメージありますか。
野原にいるぽんぽんと飛ぶ昆虫、そんな感じでしょうか。
確かに日本にいるバッタはそんな感じですが、
アフリカのモーリタニアのサバクトビバッタはかなり違います。
その大群となると、まるで嵐がきたようにものすごい量のバッタが押し寄せ、
そのバッタが通った後には草は何も残らないほどの大きな災害の原因となります。
そして実は今現在、このサバクトビバッタは70年に一度の危機として、
アフリカからインドまで、かなり甚大な被害を及ぼしています。
そのサバクトビバッタの生態は実のところまだよくわかっていません。
なぜ急に大発生するのか、どこに向かっているのか。
そんな謎に迫ろうとしたのがこの前野さんなのですが、
基本的にはずっとバッタの大群を待っているというとても地味な話です。
なのですが、出てくる人々がキャラがとても面白く、
その地味な日々にもドラマがあり、愛があり、そしてやはり、研究に対しての真摯な姿勢があります。
虫が好きな人も嫌いな人も(僕もです)、
研究ということがとても難しく、でもエキサイティングだということ知れる本だと思います。
この休暇期間に少し疲れを感じているひとがいたら、
こんな本もいいかもしれないなと思っておすすめします。
三星安澄 特任講師
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