創造的休暇を過ごすために vol.3

2020,04.15 プロダクト

新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
入学式も実施できず入学した体感もできない中、
様々なガイダンスがオンラインで実施され、本当に苦労されていること思います。

在学生のみなさん、これまでにはない対応をせまられ不安も多くあることと思います。

こんな状況だからこそ、できることを少しずつやっていき、
一緒に協力し合いながら一つずつ超えていきましょう!

橘倫央 専任講師の推薦図書


『台所のおと』幸田文著
『白い牙』ジャックロンドン著 / 白石佑光訳

一見脈略の無い本を二冊紹介します。
内容的には全く関係ない二冊ですが、
どちらの本も私の心の中にしっとりと浸透している本です。
読み終わった後の感覚が心の近いところに残ったように感じています。

[ 白い牙 ] はずいぶん前に読んだ本なのですが、
私たち人間の世界を狼の視点から描いた有名な一冊です。

冒頭の主人公 ( 人ではない ) の誕生シーンの描写は本当にリアルで衝撃をうけたのを覚えています。
この世界を初めて見たときに何を感じるのか?
野生動物の視点から描写されているからこそわかる目の前の世界の不思議さ。
普段とは違う視点で、目の前のことを捉えなおすきっかけにぜひ。
犬の忠誠心ってこういうことか!と理解が深まることもあるかもしれません。

[ 台所のおと ] は 9 篇からなる短編集ですが、
最初の “台所のおと” は本当にいいです。

タイトルの通り “音” に注目して描かれています。
人の感情はどこに宿るのか。どこから人の感情は読み取れるのか。そんなことを考えさせられます。

風鈴に情緒や風情を感じ、
虫の鳴き声というように “声” という表現を使ってしまうあたりに、
日本人の察する文化の本質があると思います。

本編はそこが美しく描かれた一冊だと思います。読み終わった後、普段の自分の動作にも気を使いたくなります。

人間は安全に生きることが簡単になってしまった分、自分の周りすら観察しなくなったように思います。

社会は、効率化を重視するあまり疎かにしていることが増えてきたように感じます。
私にとってこの 2 冊は、人が生き物として、人として生きていくときに、
本当に大切なものをもう一度見つめ直すきっかけになった本です。

専任講師 橘  倫央

 

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