デザイナー大田舞さんの講義

2025,06.21 ファッション

6月 ファッションマネジメントコースの「テキスタイル論」の授業でフィンランド在住のデザイナー大田舞先生をお迎えし、お話をうかがいました。

大田舞先生 講義の様子

今回の講義では、フィンランドへの留学の経緯から、留学生時代の経験、現地での就職活動、マリメッコでのデザイン業務、フリーランスとしての活動、さらにはご自身のブランド立ち上げまで、幅広くお話しくださいました。

<プロフィール> 大田先生は山口県立大学生活科学部環境デザイン学科をご卒業後、フィンランドのヘルシンキ芸術デザイン大学(現アールト大学)ファッションデザイン学科にて修士号を取得されました。卒業後は紆余曲折を経て、フィンランドを代表するブランド「マリメッコ」にて13年間にわたりデザイナーとして勤務され、婦人服やバッグ、靴下などのデザインを担当されました。現在はフリーランスとして、さまざまなプロジェクトに携わっておられます。

<マリメッコでの就職>

マリメッコ入社時には、一般的な採用試験ではなく、当時のクリエイティブディレクターに直接作品をプレゼンテーションし、その場で採用が決まったとのことです。バッグデザイナーとしての契約からスタートし、数ヶ月後にはファッションデザイナーへの転向を希望。そこで提示された課題は、「プリントのない無地の生地で“マリメッコらしい”ファッションを提案すること」でした。この課題に対する提案が評価され、コレクションへの採用が決定、商品化も実現しました。その後は、マリメッコの象徴的な柄を生かした衣服・バッグ・靴などを次々と手がけ、多くのコレクションに関わられました。

<マリメッコとのご縁は大学生時代から>

大学時代の卒業制作では、マリメッコの生地を使用して作品を制作されたそうです。これは当時の恩師がマリメッコ本社との交流を通じて生地提供を受けたことによるものです。さらに、学生時代に出会ったフィンランド人のノーラさんが、のちにマリメッコのクリエイティブディレクターとして上司となり、実際に一緒に仕事をすることに。思いがけないご縁が重なる奇跡に驚かされました。

<大学院に進学するきっかけ>

日本での就職が思うように決まらなかったことをきっかけに、海外留学を決意されたとのことです。「どこで何が幸いするかわからない」という言葉どおり、辛い経験も、後に振り返ると「それだからよかった」と思える出来事になるものです。

<留学したいと考えている学生さんへ>

留学にあたって最も不安に感じることの一つが語学力ではないでしょうか。大田先生ご自身も「フィンランドに行く前は英語が全く話せなかった」とのことですが、「コミュニケーションを取りたいという気持ちが語学習得の一番の原動力になった」と語られていました。

<自社ブランドの立ち上げ>

2023年にマリメッコを辞したのち、自身のブランド MAIOHTA DESIGNを立ち上げられました。
これはブランドのロゴです。 HPはこちら、くわしくはこちらをご覧ください。
https://www.maiohta.com/

ブランドのロゴ

ブランド1号の商品がこのシナモンロールタオルです。

シナモンロールのタオル公式イメージ

歯科矯正の際に痛みをごまかすため、タオルを折ったり丸めたりしているうちに「シナモンロールのように見えるかも」と思いついたことが、このタオル誕生のきっかけでした。約3ヶ月後には今治のタオルメーカーを訪ね、職人から直接糸や技法に関する意見を聞きながら、製品化へと進めていきました。

タオルの表面にある白い糸部分には、砂糖の粒を表現するため、太さに変化のある特殊な糸を使用。このアイデアは職人さんからの提案によるもので、リアルな質感の再現になりました。

シナモンロールはフィンランドでとても人気のある菓子パンで、このタオルは2024年9月、ヘルシンキのデザインマーケットにて販売されました。あまりのリアルさにパンと見間違える人や、プレゼント用として購入する人も多く、大きな反響を呼んだそうです。

ヘルシンキで販売しているところ

<講義の様子>

講義では、大田先生が”パン職人”になりきってタオルの畳み方をレクチャーしてくださいました。包装はフィンランドのパン屋さんで実際に使用されているパン用のもので、中には巻き方の説明書も入っています。

シナモンロールの作り方を教わりました

シナモンロールの出来上がり!

学生時代のお話から、マリメッコでの体験談、独立後の商品を作り、どう販売していくか、アイディアと実行力に関心させられることばかりでした。

これからの人生、可能性が無限に広がっている学生にエールを送っていただいた貴重な90分でした。

大田先生、ありがとうございました!!!

今回の講義の様子は昭和女子大TVーXで公開されます。こちらもご覧ください。

https://www.youtube.com/shorts/PE425qKvqzA?feature=share

(テキスタイル論 担当教員:木村知世、下村久美子)

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