ファッションを愉しむためのプレイリスト 01 映画編

2020,05.01 ファッション

 

こんにちは。ファッションデザインマネジメントコースの菊田です。今年度から、専任講師として在籍することになりました。環境デザイン学科の皆さん、「ファッション」について一緒に楽しく学んでいきましょう!

さて、いきなりですが「ファッション」って何だと思いますか。服のこと? おしゃれのこと? 流行のこと? 改めて考えてみると、定義が難しいですよね。ファッションデザインとは、はたして何をデザインする行為なのでしょうか。

このコラムでは、「ファッション」について考えるヒントになる教材を紹介していきます。初回に紹介するのは、映画(洋画)です。

 

1. 『プリティ・イン・ピンク』(1986)

日本には「晴れ着」という言葉があります。結婚式や卒業式など、特別な場面で着る装いのことですが、英語では「Sunday best」とか言ったりもします。

この映画の主人公アンディは、家庭の事情で、高校生活最後のプロムに着ていくためのドレスが買えない。そんな彼女を気にかけた親友のイオナ(裕福な家庭で育った女の子)と父のジャック(離婚して出て行った妻のことが忘れられない)は、ピンク色のドレスをそれぞれプレゼントする。けれども、どちらのドレスも今の自分にはしっくりこない…。さて、アンディはどうしたでしょうか。

この映画は、自分らしい装い=自分らしい自分を見つけるというお話です。私たちは服を着るという行為を通じて、「私ってどういう存在なんだろう」という問いと日々向き合っているのです。

新入生の皆さんは、入学式に着ていくための「晴れ着」を準備していたかと思います。残念ながら、その機会は失われてしまいましたが、いつかのときのために大切に保存しておいてくださいね。大学生になるにあたって、皆さんが整えた気持ちまでなくなることはありませんので。

ちなみに、この映画から「リングレッツ」というファッションが80年代後半に流行りました。気になる方は調べてみてください。とってもキュートですよ!

 

2. 『ラ・ラ・ランド』(2016)

俳優志望のミアと、売れないジャズピアニストのセブとの恋愛を描いたこの映画は、冒頭のミュージカルシーンからヴィヴィッドカラー全開のファッションで楽しませてくれます。

とあるパーティーの帰り道、丘の上を歩く2人。目の前に広がるのは、今夜、2人のためだけにあつらえた(tailor-made)ような完璧な景色。黄色いワンピースドレス姿のミアと、クールなスーツで身を整えたセブは、ステップを踏み、踊り出す。

この場面で使われているのが「A Lovely Night」という曲ですが、歌詞の中にファッションをめぐるやりとりがあるのはご存じでしょうか。

ミア:ポリエステルのスーツを着たあなたはとってもキュートに見えるわ。

セブ:これはウールだよ。

ミア:そうなのね。でも、私はあなたに何も感じない。ヒールを履いたりしない子や、ロマンスを期待しているような子には魅力的に見えるのかもしれないけど。

セブ:ああ、そうかい。

夢を叶えるために駆け出し中の2人の距離が少しずつ近付く一方で、「こうありたい私」にはなかなか近付けない今の自分に対する不甲斐なさと、それを隠そうとする強がりが二人の恋を邪魔する。だから、こんなに素敵な夜も、惹かれ合うお互いも、ぴったり(tailor-made)じゃない。

映画の衣装は、ときに役者の内面や心情を表したりもします。ミアとセブが身に着ける色の変化に注目しながら、この映画を観てみるのも楽しいですよ。

 

 

皆さんにとって、「ファッション」って何ですか。

菊田琢也(専任講師)

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