創造的休暇を過ごすために vol.24

2020,06.07

プロダクトデザインコースのナカダです。

今回は、モノクローム写真のススメです。

この 2枚はワタシが学生時代、廃屋が好きでカメラを持って出かけては、撮っていた一部です。

当時ですから勿論、フィルム撮影。お金も無いので大学の現像室で現像してプリントしていたモノです。

そんな廃屋撮影にのめり込んだキッカケになった写真集を紹介します。
ドイツ生まれの写真家、ベルント・ベッヒャー(1931-2007)とヒラ・ビッヒャー(1934-2015)夫妻の写真集です。


「TYPOLOGIES」 (2004/Bernd & Hilla Becher/The Mit Press)
「WATER TOWERS」 (1993/Bernd & Hilla Becher/The Mit Press)

彼らの作品は「タイポロジー(類似学)」をコンセプトとしていて、
どの写真も同日に撮ったかのようにトーンが揃っています。場所も日時も違うのに恐ろしいほどに揃っているのです。

曇天下に行われた撮影は、被写体に影があまりかからず細かな部分まで再現する為だそうです。
被写体を真正面やや高めの視点から客観的な構図で撮影しています。

彼らが撮り続けた対象に「給水塔」「採掘等」「溶鉱炉」「冷却塔」などがありますが、
いずれもストイックな機能美であり、20世紀の産業遺産を思わせます。

撮影以前の被写体を見出す力、構図の構成力がとんでもなく素晴らしいのです。
日常に潜む「圧倒的な美」をこれでもか…と教えられた写真集です。

少し高額な写真集でしたが、30年間変わらず書棚の良い場所に鎮座しています。
モノクロームの世界は、人に想像力を掻き立ててくれる何かがあると感じています。

重いし面倒くさいなぁ…と思いがちですが、またカメラを持って出かけられるのが待ち遠しいです。
人影の少ない東京も絵になりますしね…

ナカダシロウ

 

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